「もう限界」と思ったら限界か
『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す法』(為末大著、SBクリエイティブ)は、数々の実績を打ち立ててきた元世界陸上銅メダリストである著者が、「限界」のあり方に疑問を投げかけ、そこから一歩先に進むための考え方を説いた書籍。
人はことあるごとに限界と直面し、多くの場合はそこで諦めや挫折を余儀なくされるが、果たしてそれは正しいのか? 限界とは、人間のつくり出した思い込みで、つまり自分でつくり出した思い込みの檻に、自ら入ってしまっているのではないか?
でも実際には、限界とは、超えるものでも、挑むものでもないのかもしれない。そして、仮に限界に対する思い込みや常識がブレーキをかけてしまっているのであれば、それを外せば「自己ベスト」を更新できるはずだという明快な考え方だ。
たしかにそうだと思う。限界を感じずにはいられない状況はビジネスシーンのどこにでもあるし、場合によっては、限界が言い訳になることすらあるだろう。だからこそ、あえて限界を疑い、「そこからなにができるか」を考えてみる。そこに、可能性が生まれるというわけだ。