世にまかり通る保険の常識の数々。しかし、それを信じると思わぬ落とし穴に入り込むことに……。そんな実は「非常識」なことを保険のプロたちがつまびらかにする。
保険料
勤め先の業績の悪化で収入が減ったり、最悪の場合であると失業したりして、保険料が払えなくなるケースが後を絶たない。そうなると、泣く泣く虎の子の生命保険を解約することになりがちだが、ちょっと待ってほしい。家計の見直し相談センター代表でファイナンシャル・プランナーの藤川太さんは次のようにアドバイスする。
「保険料が払えなくなったのは、病気で働けなくなったから、という人が少なくありません。そういう人ほど、もともと保険のニーズが高いわけですし、特に扶養家族のいる現役世代であれば、解約はできるだけ避けたほうがいいのです」
実は以後の保険料を払わなくても、保険に加入し続けられる方策もある。
1つ目は、終身保険に加入している場合、その時点の解約返戻金を元手に一時払い終身保険に切り替える方法である。「同じ終身保険ですが、一般的に元の終身保険に比べて保険金額がダウンします」(藤川さん)。
また、定期保険に切り替える方法もある。先ほどと同じように終身保険の解約返戻金を元手に、保険期間が決まった定期保険に切り替えるのだ。「保険期間は短くなりますが、保険金額を維持することができます」(同)。なお、どちらの方法も、元の終身保険についていた特約は、原則として継続できないので注意が必要だ。
さらに、病気の治療期間にメドがついていて、再び収入を得られる見込みがあるのなら、解約返戻金を元本に保険会社から借金して保険料を払う「自動振替貸付」といった手もある。
「保険会社が、解約返戻金を担保にして、収入がない期間の保険料を融通するわけです。借金なので利子も付きます。まるで“タコ足”のような方法ですが、保険を解約しなくてすみます。借金を返済できなくても、保険金などと相殺できます」と、なごみFP事務所の代表でファイナンシャル・プランナーの竹下さくらさんはいう。ただし、保険に入ったばかりのときや契約内容によっては、自動振替貸付の取り扱いがないケースもある。
また、ここで再確認しておきたいのは、これら3つの方法ともに、解約返戻金が前提になっていることである。解約返戻金のない掛け捨て保険では使えないので気をつけよう。