「過払い」CMが「不動産の債務整理」へ

無論、ここまで無理筋のセミナーを後押ししている地銀はごく一部であり、地域密着型の金融機関の大半は地道に業務を遂行している。信用金庫は今回取材した限りでは一件も見当たらなかった。複数の地銀が手を染め始めているのが現状とみている。

当たり前だが、地域の金融機関の役割は、地域に貢献する投資のため適切な規模の資金を融資し、その支援を行う事にある。そこから地域への貢献と投資家の利益、金融機関の適切な水準の利益が享受される。これが目指すべき姿のはずである。

しかしながらマイナス金利まで導入され、金融機関が無理やり融資をするように仕向けられた結果、投資の素人である公務員やサラリーマンを借金漬けにし、そこから高い金利だけを金融機関が得るというスキームが広がっているのでは、中央銀行の金融政策とは、一体何のためのものかと疑問になる。

先の不動産業者が、さらに付け加えた。

「今、テレビをつけると、よく過払い金の返金訴訟を請け負う法律事務所や行政書士のテレビCMがあるでしょう? 詳しい不動産屋の間では、あと1~2年もしたら、あの過払い金のCMが、田舎の不動産を買って失敗した人に債務整理を勧めるCMに代わるんじゃないか、なんて話もよく聞きます。それぐらい蔓延しているんです」

筆者は海外の不動産投資をするための調査や情報提供サービスを行っているが、そのリサーチャーの志願者に、このようなセミナーに出向かせて内容を報告させたことがある。セミナーの本当の目的や各金融機関の構図をどこまで見抜けたかでその力量が簡単にわかるからだ。この程度の実態も見抜けないうちは、結果を出す事は難しい。投資とはそういう世界である。しかも、金融機関がカモを必死で探している状況下であればなおのこと、一般の人が投資を行うには、より細心の注意が必須なのだ。

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