人口減少は人手不足より「需要不足」が深刻

長期的には人口減少が給料に響く可能性は非常に高い。

ここ数年、一部のサービス業では人手不足に悩まされており、飲食業などではアルバイトの時給を上げている例もある。人口が減れば仕事にあぶれないと考える人もいるが、それは一時的なことであり、人口減少によって消費が減ることのほうが遥かに問題は大きい。

消費が伸びなければ生産の必要性が下がるし、高齢者の割合が増えることで現役世代の社会保障費負担が増し、ますます消費は落ち込む……という負のスパイラルが待っている。日本では抵抗が強いが、移民を受け入れて労働力を確保し、その人たちにも消費してもらう、納税してもらう、社会保障費を負担してもらう、ということを本格的に考える必要がある。

では数年先の給料はどうなっているのか。次回お話ししたい。

永濱利廣(ながはま・としひろ)
第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト

1971年、栃木県生まれ。東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。95年早稲田大学理工学部卒業後、第一生命入社。日本経済研究センター出向などを経て、2000年より経済調査部に異動。16年より現職。経済財政諮問会議政策コメンテーター、総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事兼事務局長、一橋大学大学院商学研究科非常勤講師、跡見学園女子大学非常勤講師などを兼務する。主な著書として、『経済指標はこう読む』『日本で一番やさしい「アベノミクス」超入門』『知識ゼロからの経済指標』など多数。
(高橋晴美=聞き手、構成)
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