当面は外需より「内需に強い業界」

以上の要素を総合すると、当面は外需より内需、ということになる。

給料アップが期待できる業界を具体的に挙げれば、「建設・不動産」だろう。 東京オリンピックでも一定のインフラ整備が行われるし、熊本地震など、被災地にもインフラや住宅の需要がある。

政策関連でも、給料に関わる幾つかの業界が挙げられる。まず1点は、「介護士」や「保育士」。慢性的な人手不足で高齢者の受け入れ先がない、待機児童が解消できないといった構造的な問題に直面しており、政策的に賃金引上げが図られる。ただ、もともとの水準が低く、介護では40歳時平均年収が432万円と、ほかの業界と較べて低年収である(『会社四季報 業界地図 2016年版』より)。水準が低いところからの小幅な賃上げ、ということであり、必ずしも「給料が上がる=高収入になる」ということではない。

また先ごろ政府が閣議決定した一億総活躍プランでは、「同一労働同一賃金」が目玉になっている。非正規雇用であっても、同じ仕事をしているなら賃金を正規雇用者と同じにする、つまり、非正規と正規の賃金格差をなくす、ということである。これが進めば、非正規として働いている人の多くは給料が上がる、ということになるだろう。逆に、非正規の人の賃金を上げるため、正規雇用の賃金は上がりにくくなる、という側面は否めない。