「暴力団にわっと言われてもシュンとなったら負け」
――まず、なぜ選挙に立候補しようと思ったのか、その理由を教えてください。
自分が住んでいる町は福岡県でもかなりの田舎町です。豊かな自然や地元の人同士の温かい交流が残っているという良い面もあるのですが、交通の便や生活の面で若者にとっては住みにくい場所です。住みにくいのであれば、自分たちで自分たちが住みやすい場所にすればいいんじゃないかと思ったのがきっかけです。
――昔は、「ワル」だったと聞いていますが。
はい(苦笑)。自分はどちらかというと社会から外れたところで生きてきたんです。悪さも一通りしてきました。高校も中退で、会社勤めをしたことはありません。中学、高校の頃は(漫画の)『ビー・バップ(・ハイスクール)』が流行っていた時代で。あの漫画の世界そのままの生活を送っていました。暴走族のようなこともしてました。ただし、走って地元に帰ってきたときには、音がうるさくないように(ギアを)ニュートラルにしてエンジン切って。自分で言うのもなんですが、律儀な暴走族でした。ただ、成人式では、リーゼントに黄色の袴着て……。
そんなヤンチャし放題だった自分でも政治家になれるということを知ってもらって、「あんなやつでも政治家になれるんだったら自分も」と思ってもらえたら良いなと思っています。
――エリア的に少し“荒れて”いるのですか?
うちの地域の特徴だと思うんですが、暴力団に入りたがる若者が群を抜いて多く、入ってしまうと抜けようにも抜けられなくなる人も少なくないんです。警察はそうしたいわゆる「組織」の人を取り締まるのが仕事なわけですが、組織と対立した一般人がいても、一生その人の身を守ることはできません。だから、結局、人々は自分の身は自分で守らないといけないんです。
――今、橋本さんはそういう人に何か支援をしているのですか?
はい、組織を脱会したい人からよく相談を受けます。その人と自分で、組織の人と話し合いの場を持つことも少なくありません。話し合いの場は緊張します。そりゃあ、向こうの人はすごい迫力でわっと言ってきます、脱会できるはずないだろって。
でも、そこで、しゅんとなったら負けだと思って、自分が正しいと思うことや信念を伝えます。「もう一切、(この相談者の人とは)関わらないように」「そのほうがお互いのためやないか」って。組織の人からしたら、俺はかなり煙たい存在だと思います。実際、何度も呼び出されていますし、「暴力団みたいな議員がおり」なんて言われて(苦笑)。