舛添要一東京都知事が6月21日ついに辞任した。舛添氏の不適切な公費使用問題などに疑義を呈してきた橋下徹氏は先週、「弁護士調査が最悪でしたね。あれが引き返せない分岐点。あんなことやらなければよかったのに。強引に適切だ、という主張を入れ込んでしまった」と舛添氏の敗因を分析した(http://president.jp/articles/-/18294)。「弁護士調査」とは、舛添氏が自身の金銭疑惑を晴らすため、元検事の佐々木善三、森本哲也両弁護士に依頼した調査のこと。あの調査の何が「最悪」だったのか。橋下氏が解説する。

調査を担当した弁護士は「第三者」じゃなく、ただの代理人!

舛添さんとあの弁護士たちは、なぜ自らを「第三者委員会」とは言わなかったのか。それは日本弁護士連合会の第三者委員会のガイドラインに従っていないからだ。

ガイドラインにはこうある。「第三者委員会の委員は3人以上」。今回は2人。だからガイドライン違反。そしてこちらが重要だが、ガイドラインには「第三者委員会設置の際にその調査範囲を明確に示さなければならない」とある。今回こちらも違反。

したがって、あの弁護士も、自らを第三者委員会と名乗れないことは重々承知していた。本来は代理人・弁護人であることをはっきり言わなければならないのにそこは黙っている。結局、今回のあの弁護士たちの調査・評価は、舛添さんの利益を守る代理人・弁護人ができる限り厳しく調査・評価したというに過ぎない。

普通ならこんなの信用できないよ! で一蹴されるものなんだけど、メディアは勉強不足、質問力不足で突っ込まない。僕もこれまでずっと指摘していたけど、舛添さん問題は政治資金規正法に違反しているかどうかの観点では、違反はない。違法とは言えない。それは政治資金規正法がザル法で、お金の使い方には何の制約も課していないから。

政治団体の収支をきちんと記録して公開すればOK。使い方に関しては不動産購入が禁じられているだけ。公私混同でも、きちんと記録化して公開していれば違法にはならない。領収書の偽造でもしない限りに違法にはならない。だから、舛添さんが、違法かどうかを調査してもらう、としていれば、そんなの調査する必要はない!! 違法ではないことは分かっている!!! と突っ込める。まあメディアの質問力にもよるけれどもね。

今回、舛添さんには、支出が適切かどうかを調査してもらう、と言わせなければならなかったんだ。違法かどうかの問題ではない。「適切かどうかの問題だ」と、初めから論点整理をしなければならなかった。