お金談義をしない両親の子の「心は不安定」
両親がお金談義をしない関係が多いからだろうか。鶴田さんによれば、大学進学を控えた高校生の子どもが親に「ウチって、大学に行くお金は貯まってるの? 逆に借金とかもある?」という質問をすると、半数近くの親は「回答拒否」するか「金のことは言うな、心配する必要ない」と軽くキレたという調査結果もあるのだそうだ。
「もちろん借金の有無や家計の収支状況をきちんと話してくれる親もいました。そうした親の子は『自分が信頼された気持ちになって頑張って勉強しよう』という気持ちになったといいます」(鶴田さん)
お金談義をタブー視しないで、子どもにもオープンに話すことは、どんな効果があるのか。鶴田さんはこう話す。
「人生をより良く生きるのに必要なお金の話が冷静にできるようになります。それは子どもの経済的な自立につながります。例えば、『また、そんなくだらないモノ買って!』などと小遣いの使い方に親が細かく口を出しすぎると、自分で考えてモノを買う・買わないの判断ができない他人任せの子になるかもしれません。血のつながった親子といえども、お金の価値観は違う、と親側が寛容に見守って、子ども自身がお金の使い方の"訓練"をするようにすることが大事です」
結局のところ、両親がお金談義をできないような「冷たい関係」では、親子関係のそれもしばしば感情的なものとなる。すると、子どもの心は不安定化して、勉強を含む日常生活へのダメージが出てくるリスクも否定できないのだ。
(ファイナンシャル・プランナー 鶴田明子=語り)