個々の余裕資金の多寡次第で、投資先はどう変わるのだろうか? マネーのプロ2人が詳しく指南する。
1億円あればオルタナティブ
余裕資金で1億円ある方は、何もリスクを取ってガンガン攻める必然性はなく、今持っている資産を減らさない、守る意識のほうが強くなるでしょう。世代的にも相続・節税対策が重大な関心事となっている可能性も高いので、(4)オルタナティブ(代替)投資という選択肢が新たに加わります。
図のように(1)守り30%、(2)中間20%、(3)攻め20%として、(1)守りには、国内への投資を多めに、元本が保証される定期預金と国債を各15%ずつ。国債は、市場金利が上昇すれば価格は低落。中長期的に金利上昇が見込まれる現況は、国債にとってはマイナスですが、個人向け国債は例外です。とくに変動金利の10年ものは利率が半年ごとに見直されるので、金利に関しては連動上昇が見込めます。
(2)中間の内訳は、変額年金保険など運用型の保険に10%。さらに新興国に比べローリスク・ローリターンの先進国債券にも10%。(3)攻めの内訳は、国内株式10%(優良安定株式を中心に、一部は将来性を楽しみにする株)、海外株式5%(新興国株式は実際に買う手段が限定されるので米国企業中心)、新興国債券5%。
そして、(4)オルタナティブ投資に30%。米エール大学やハーバード大学の大学基金運用は毎年高い成績を上げ続けていますが、この(4)を入れているのが特徴です。
互いに真逆の値動きをする株式と債券の組み合わせがリスク分散の典型。しかし、近年は必ずしもそう動くとは限らなくなり、リスク分散の意味が薄れています。そこで、資金の多いメリットを生かして選択肢を増やし、従来の投資先とは異なるオルタナティブ投資によってポートフォリオ全体を安定させるわけです。
オルタナティブ投資の内訳はコモディティ(金、金貨など商品・先物取引)、現物不動産、ヘッジファンド(私募ファンド)で各々10%ずつ。コモディティについていえば、たとえば戦争になれば株式は下がりますが、逆に価格の上がる原油などによってリスクを回避します。