「3重苦」の強化体制からの挑戦

女だてらにラグビーなんて。確かに昔はそう、言われていた。でも時代は変わった。女子ラグビーの7人制(セブンズ)日本代表『サクラセブンズ』はリオデジャネイロ五輪に出場するし、15人制日本代表『サクラ・フィフティーン』はこのほど、香港代表に快勝し、アジア・チャンピオンの座に就いた。

その試合、東京・秩父宮ラグビー場には3037人(公式発表)の観客が詰めかけた。女子ラグビーには女子ラグビーならではの面白さがある。スクラムだってちゃんと押し合うし、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)だって結構、はげしい。

サクラ・フィフティーンは、17歳の女子高校生から、38歳のOLまで、幅広い世代の選手で構成されていた。チーム最年長の38歳、フランカーの乾あゆみ(兵庫県ラグビースクールレディース)はこう、「多様性の妙味」をアピールするのである。

「生まれも育ちも、世代も違う、みんなが集まって、チームをつくっていくというのが感動なんです」

日本女子ラグビーの歴史を紐解けば、1983年、東京の多摩川河川敷のグランドで国内初の女子ラグビー講習会がひらかれた。88年、日本女子ラグビー連盟が発足した。女子ラグビーにとっての転機は2009年、セブンズがリオ五輪の正式種目になったことである。日本協会が女子セブンズの強化にも乗り出し、環境は革命的に改善された。

昨年度末の日本協会登録のラグビー人口はざっと10万人弱で、女子のそれは前年度より199人増えて、3572人となった。

ただ、強化において、15人制の女子ラグビーは取り残されてきた。男女の7人制、15人制の4つの中で一番、普及・強化が難しいのが、この15人制女子ラグビーであろう。はっきり言って、人材は苦しく、カネもなく、競技環境も乏しい、3重苦なのだ。

サクラ・フィフティーンの強化合宿にしても、今回は香港戦前の1週間ほど開催できたが、通常は、3泊4日のミニ合宿を年に3、4回する程度である。サクラセブンズが年に200日ぐらいやっているのと比べると、雲泥の差である。