もう1つ大事なことは、お金を儲けようとあまり思わないことです。ほとんどの人は、ビジネスに敏感で、商いで儲けようとする。でも、父も私たちも、お茶で儲けようという発想はほとんどありません。むろん損するのは嫌いですが。商売は金儲けのためにするのではありません。社是にもあるように、社会のために何をするのか。社会に貢献しなければならない。私はそれが人間の生きがいであるし、そのプライドが大事だと思っています。

▼福井家家訓
無声呼人
▼福寿園社是
信用を蓄積しよう
得意先を蓄積しよう
技術を蓄積しよう
人材を蓄積しよう
資本を蓄積しよう
▼つもり十訓
多いつもりで ないのが分別
あるつもりで ないのが財産
ないつもりで あるのが借金
深いつもりで 浅いのが知恵
浅いつもりで 深いのが欲
高いつもりで 低いのが見識
低いつもりで 高いのが腰
儲けるつもりで 損するのが商売
飾るつもりで 剥げるのが嘘
隠すつもりで 顕れるのが悪事
福寿園会長 福井正憲
同志社大学卒業後、1958年福寿園入社。6代目園主で父親の福井正巳初代社長の死去で、当時32歳の兄・正典氏が社長に、28歳の正憲氏が専務になり、兄弟で経営の舵取りを始める。90年に社長、13年より現職。
(ジャーナリスト 國貞文隆=構成 和久六蔵=撮影 サントリー食品インターナショナル=画像提供)
【関連記事】
なぜ、優秀な会社は、企業文化を大切にするのか
日本一の純米大吟醸「獺祭」の逆転発想
中小企業が続々再生!老舗問屋のコンサルティング
33万円の日本酒、20万円のお茶が売れる理由
『創業三○○年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか』田久保善彦監修