資産100億、10兆円を築いた日本人の共通点

欲を制するのに有効な、習慣や手順。世の中にはそういうものが確実に存在し、それに気づいている人はきちんと実践しているのです。

では、ここで富裕層への道を歩む上で不可欠な種銭づくりのためにも必須な「習慣と手順」を少し掘り下げてみましょう。

私がご紹介したいのは、この2人。林学博士・投資家の本多静六と、安田財閥の創設者・安田善次郎です。彼らが実践した「習慣と手順」を見てみましょう。

本多静六の貯蓄法については、以前にもお話しました(http://president.jp/articles/-/17143?page=3)。収入が入ったら通常収入の25%、臨時収入の100%をまず天引きして貯蓄する方法を25歳から40歳まで15年間続け、これを原資にした運用に入ったら利息からの収入が本業を超えたと『私の財産告白』に書かれています。

現在とは金利水準が違いますので、ここの部分は配当収入などに読み替える必要がありますが、その後、本多は自分の専門(本多は東京山林学校卒)を生かして山林投資、鉄道株への投資を通じて公務員でありながら、現在の時価で100億円超の資産を築きました。

本多が貯蓄法を始めた最初の頃は、月末になると毎日ご飯の“おかず”はごま塩ばかりで大変だったと述懐していますが、運用によって得た配当や利息は翌年から通常収入に組み入れるため年を追って生活は楽になっていったようです。

冒頭の制欲についての考え方を述べている安田善次郎は幕末から大正まで一代で4大財閥の一角を築き、当時の国家予算の7分の1(現在の貨幣価値でいうと10兆円超)の財を成しました。

この安田は「分度生活(収入に応じた生活基準=分度)を定め、その範囲ななかで生活できるよう節約に心がけること」の方法として、非常時に備えて収入の2割を天引き貯蓄し、どのような状況であろうが絶対に2割を差し引いて収支を組んだといいます。

安田は「収入の二分を貯蓄するということは、最終的には大きい金になるものと思わなくてはならない。この堅く守るという、自分の立てた主義は、他人が何と評そうが、いかなる誘惑が起ころうが、一歩も曲げたことはない。これがすなわち、今日の私をつくり上げた要因であると信じている」と述べています(安田善次郎著『大富豪になる方法』より)。

また、「そんなことは守銭奴の言うことだ。少しばかりケチをしたからといって何の役に立つものか」と言って、「少しだから使ってもいいだろう、このくらいの金を貯めて何になる」と無駄遣いをしたり、貯蓄をしなかったりする人は、いつまでたっても余裕のある生活ができないのはもちろんのこと、ついには食うにも困るようになると語っています。