なぜ、使用済みティッシュが捨てられないのか?

先日、家計の見直しのご相談に見えたAさん(50代)。挨拶もそこそこに、席に着くなりこう切り出した。

「ウチの奥さん、ティッシュが捨てられないんです。テーブルを少し拭いたり、鼻噛んだりしても捨てずに、そのへんにまるめて放置。翌日乾いてからまた使います。もったいないのだそうです。だから、家中に使いかけのティッシュが置いてあります。ほかにも、スーパーのビニール袋が死ぬほどたくさん。しまうのも面倒で台所に散乱していますし、玄関にはビニール傘が何本も。家は片付かないし、お金も貯まりません。なんとかしてください!」

さすがの私も、ティッシュペーパーの再利用は初めて聞いたが、始末できないスーパーのビニール袋やビニール傘がたくさんある、というご家庭は少なくない。

家計相談であれこれ伺っている関係上、このようなご家庭の冷蔵庫を開けると、しゃぶしゃぶや焼き肉のたれ、ドレッシングなど、使いかけの小瓶やチューブがたズラリと並び、戸棚には、買い置きがあるも関わらず、特売だからと買ってしまった日用品が、売るほど押し込まれている可能性が高い。

実は、これらの習慣は、いずれもお金が貯まらない人に共通する。

その根底にあるのが、「もったいない」思想である。もったいない(勿体ない)というのは、そもそも、「勿体」(重々しい、威厳さ)がない=妥当ではない、不届きである、という意味で用いられる言葉だったそうだ。

それが今では、粗末にするには惜しい、おそれ多い、ありがたいなどを表現するときに使われる。私も子どもの頃、何かを捨てようとするたびに、明治生まれの祖母が、「もったいない」「もったいない」と呪文のようにつぶやいていたのを覚えている。