気軽なマッサージ、ボディケアに落とし穴
駅ビルやショッピングセンターの中に、「手もみ」「ボディケア」「整体・矯正」「足ツボ」などを謳い、肩もみやマッサージを行う店舗をよく目にするようになった。空港やオフィス街にあるこれらの店も、女性客のほか、わずかな空き時間で体を癒やそうというビジネスマンで繁盛している。
ところが、そんな気軽な気持ちで受けたマッサージで、むしろ体を傷つけてしまうことがある。なかには、重傷を負って歩くことさえままならなくなり、退職に追い込まれたケースもあるというから怖い。一体、マッサージの何が危険なのだろうか?
国民生活センターの集計によれば、マッサージ、整体、接骨院や整骨院での施術、カイロプラクティック、指圧などによって、痛みやケガなどの健康被害を起こしたという訴えは、この9年間でほぼ2倍に増えた。
「健康ランドでマッサージを受けたところ、脚や腰に痛みが出て歩行困難になった。翌日整形外科を受診したところ、脊椎管狭窄症があって、マッサージで強く押したため痛みが出たのだろうとの診断だった」(60代男性)
この男性は医師から通院治療に1カ月かかるといわれ、その間は仕事を休むしかない状態だ。店に苦情を言ったが「もともと病気があったのだから治療費しか出せない」と言われたという。
このほか、「ハワイアンオイルマッサージで背中をぐりぐりと痛いぐらいマッサージされ、数日後首や頭の周りが痛くなったので病院に行ったところ、頸椎捻挫と診断された」(50代女性)、「体のゆがみを直すとの広告を見て整体サービスを受けたが、逆に腰が痛くなり、病院に通っている」(30代女性)などの訴えもある。
これらは、いずれも国民生活センターに寄せられた危害事例で、最近よく見かける中国式マッサージの事例なども目についた。
こうしたマッサージでケガや痛みの起こった部位は、腰(21.7%)、首(17.8%)、胸・背中(16.5%)が多く、被害者の年齢は30代(22.2%)・40代(22.3%)・50代(18.2%)が多い。まさに、忙しさにストレスがたまりがちな世代が肩こりや腰痛などに悩まされ、つい身近なマッサージ店を利用しているということを感じさせるのだ。