消費税に対するクルーグマン教授の考え

「消費税(consumption tax)」にいたっては登場回数がわずか3回。うち2回は安倍首相の質問で、後の1回が教授の回答となっている。消費税は欧州の付加価値税(Value Added Tax)に相当し、その付加価値税の略称であるVATの登場は2回。首相と教授それぞれ1回ずつとなっている。

消費税に対するクルーグマン教授の回答だが、

I am not certain why the VAT hike did so much to arrest recovery in Japan. It may bethat it was the public viewed it as a signal that the policy would not be expansionary,that it was a break in what had seemed to be a run of all expansionary measures, but I do not know that.

(なぜ付加価値税の増税が日本の景気回復をこれほどまでに阻むのか私にはわからない。財政政策が拡張的でないとのシグナルと民間が受け取ったせいかもしれないし、一連のあらゆる拡大政策と思われていたものを遮断するものだったのかもしれないが、私にはわからない)

とのこと。わからない人に消費税増税すべきかどうか尋ねたのかと唖然とされるかもしれないが、クルーグマン教授の名誉のために付け加えておくと、教授は国際貿易における付加価値税の影響を分析した論文など発表しており、付加価値税制度への造詣は深い。ただし、それと個別の国の実体経済への影響という深層部分の検証・分析とはまた別の話だ。

そして「わからない」としながらも、

The idea that one should be prioritizing long-run budget issue over fiscal support now seems to me to be extremely misguided. Obviously I am talking about the consumption tax here.

(財政支出動よりも長期的な予算問題を優先すべきとの発想が、今となっては極度の見当違いだったように自分には思える。言うまでもなく、日本の消費税のことだ。)

と過去7年の各国の財政政策をふり返る節の中で指摘している。