日本企業の活力がビリオネア形成を阻んでいる!?
注意すべきは、儲かっているアメリカ企業のトップなら誰でもビリオネアになれる訳ではないということだ。創業者かオーナー経営者として株式をたくさん保有しているか否か。つまり、企業業績が好調で巨額の配当を得られるかどうか。そこがビリオネアになれるかどうかの分かれ道だ。
それは「2016年版ビリオネアランキング」のべスト20を見ると、そのことがよくわかる。
「フォーブス」誌が資産額を推定計算する上で、保有株式、保有土地の評価額は極めて大きなウェイトを占める。日本が27位に甘んじているのは、上記のような「ビッグスケールの世界企業を創業・発展させた存命者が極めて少ない」という理由に加えて、長期にわたる「株式市場の低迷」および「地価の下落」の影響も大きい。たとえば、株価。電子商取引企業「阿里巴巴(アリババ)」を1999年に創業した馬雲(ジャック・マー)は、2014年9月にニューヨーク証券取引所に上場し、初値が公開価格68ドルを大きく上回る92.7ドルをつけ、話題になったが、馬は、創業時に必要だった6万ドルの融資を銀行に断られ、友人たちに泣きついてやっと工面したという経緯がある。
馬の資産は、上場前の84億ドルから250億ドルへと3倍増、2015年ビリオネアランキングで33位に入った。同社の主要株主だったソフトバンクの孫正義も、資産も増やした。日本企業には、そういうド派手なことをやった企業の創業者やオーナーが皆無に近い。
その結果、2016年版ビリオネアにランクインしたのは、57位の柳井正(ユニクロの「ファーストリテイリング」創業者)146億ドル、82位の孫正義(無線通信の「ソフトバンク」創業者)117億ドル、163位の滝崎武光(産業用エレクトロニクスメーカー「キーエンス」創業者)72億ドル、228位の三木谷浩史(ネットサービス企業「楽天」創業者)56億ドル……ということになった。