その日出氏のメンターを務めた長崎伸郎取締役常務執行役員は、面談を通してコミュニケーションの重要性を知ったと語る。「同じ部門の部下に対しては自分の経験が長い分、ついつい決めつけて上から言ってしまうことが多い。しかし、メンターを通じて自分の意見を押しつけず、できるだけ部下の言い分を聞こうと接し方を改めようと思いました。また、男性同士だとあうんの呼吸で言葉を省略してきたが、女性も含めたダイバーシティになると、相手の言うことを聞き、自分の考えていることを丁寧に説明する機会を増やすことが大事ですね」
女性のキャリア意識の向上は、同時に男性中心社会の意識の変革も迫っている。女性活躍推進は、単に国家目標にとどまるだけではなく、ビジネス上の経営課題と位置づける企業が増えている。時代錯誤の幹部層は、これまでの女性部下に対する接し方や先入観を捨てない限り、生き延びていくことは難しくなるだろう。