経営者に人気の歴史小説は

そして無類の本の虫として最近脚光を浴びる人物といえば、ライフネット生命保険CEOの出口治明氏だろう。5000冊以上の歴史書を読んだ知識を独自に体系化し、世界史の本まで上梓した。

出口氏は著書『本の「使い方」』の中で、一般的なビジネス書はあまり読まないと記している。その理由は、「『こういうときは、こうするのが正解』と書かれていたりしますが、実際には、当てはまらないケースのほうが多い」。さらに、経営者の後づけの成功体験は読んでも身のためにならないと主張し、それよりも失敗した人間やいいかげんな人間が克明に描かれている歴史書や優れた小説のほうが、はるかに役に立つという。

幸運者のほうが「歴史・哲学派」が多い

「確かに成功している経営者は、歴史小説、歴史書をよく読みます。人気があるのは、司馬.太郎、塩野七生で、作品でいえば『坂の上の雲』や『ローマ人の物語』など。もう少し休憩する気持ちで読むのが、藤沢周平、池波正太郎ですね。歴史ものはさまざまなキャラクターが活躍し、それをリーダーが束ねていく様が描かれているから、マネジメントの勉強になる。逆に強い敵が現れたり、組織が滅んでいく過程は、同じ轍を踏まないための知識として学べます」(國貞氏)

企業人として上を目指すならば、歴史書は必須なのかもしれない。