11事業、87社を束ねる「梁山泊経営」とは
【GMOインターネットの人材戦略】取締役副社長 西山裕之
1991年に熊谷正寿社長(現会長)が創業し、インターネットインフラ、インターネット広告、インターネット証券など多角的な事業展開をするGMOインターネット(※2005年に現在の社名に変更)。売り上げ1263億円、営業利益は148億円の同社で副社長(COO)を務める西山裕之氏はこう語る。
「グループ会社が数多く存在し、日々さまざまなことが起こるので、その都度対応している。猛獣だらけの社員ですから」
GMOインターネットは、11事業(上場は9社)、87社の会社の集合体。グループ全体でスタッフが4500人、役員は120人いる。役員は、「グループ格付け制度」という共通人事制度で評価をされる。社員は、人事制度、採用制度も自由なため、各社独自の方式をそれぞれ設けている。それは、各社に権限を分散することで、“会社の脳ミソ”と“会社のスピード”を上げることを期待するからだ。西山副社長はこれらを「梁山泊(優れた人物が集まる場所)経営」と称する。
しかしながら、事業が11事業、87社もあると、最低限の共通ポリシーが必要になる。GMOインターネットのポリシーの根幹には、ミッションステイトメントとして、インターネットを広げることに命をかけるという「スピリットベンチャー宣言」が存在している。その上には、2051年に売り上げ10兆円、利益1兆円という日本を代表する企業を目指す「55カ年計画」。さらに、その上にはマーケティングの「ランチェスター戦略」、さらにその上にマネージメントノウハウとして「目標達成10か条」、最上位に、失敗をノウハウ本にした「成功のバイブル」がおかれている。
人材に関しては、「自走型人材」を常とし、3つ原則を掲げるのが特徴だ。
(1)積極性を持って、社員自ら手を挙げて立候補してもらうこと。(2)360度評価を導入して客観性を持たせること。(3)評価を開示して透明性を持たせること。福利厚生の環境面も重視していて、西山副社長は「スタッフはみんな家族であるという熊谷会長の考えがある」と語る。
本社のある東京都渋谷区のセルリアンタワー内に、カフェ、バー、託児所、マッサージルームを完備。社員教育のためのプラットフォーム、エンジニアのための教育プログラムもある。イベントも盛んでファミリーデーを設けたり、社内で「花見」で行ったりしている。