新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイス

【メルカリの人材戦略】代表取締役社長 山田進太郎
山田進太郎・メルカリ社長

2013年に設立後、わずか3年でフリマアプリ「メルカリ」は日米で3200万ダウンロード(日本:2500万、アメリカ:700万)を誇り、月間の流通額は100億円超にも達する。今年3月2日には第三者割当増資引き受けで86億円を調達するなど、スタートアップ企業で今最も注目を集める会社である。

メルカリのアプリは、誰でも簡単に利用できるのが特徴だ。スマホのカメラを使って商品を撮影して出展する。支払いもクレジットカード、コンビニ、ATMなど複数の決済手段がある。毎日10万点以上の商品がサイトに追加されていく。

メルカリのビジョンは「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」。

戦略の特徴は大きく2つある。1つ目は、「世界的な」というキーワードで、最初からグローバル志向で当初から世界で伍していけるビックピクチャーを描き、人材を集めるということ。USAの子会社は、創業後わずか1年で設立。日本では売り上げゼロでサービスも半年強という状況でも、USAでアプリをリリースしてきた。

2つ目は、「マーケットプレイス」。新しい個人間取引の場をメルカリが独自に開発し、世界的に汎用性を持つサービスを展開している。ザッピングできるように写真中心のタイムラインにし、従来は時間がかかっていたがすぐに購入できるよう固定価格とし、お金を一度預かる安心システムなどを設けている。

人材マネージメントでは、ミッションを達成するための「バリュー」を重視する。1つ目は、「Go Bold」(大胆にやろう)。たとえ売り上げがゼロの状態でも、CMなどに数億円をかけて成長を維持させ、さらに他の会社がやっていないようなことを目指してきた。

2つ目は、ラグビーなどに使われている「All for one(全ては成功のために)」。我々の採用や評価をする際に良く聞いていることが、「チームとして達成してきたことは何か」である。これまで自分が何に対して貢献してきたかが問われる。

3つ目は、「Be Professional(プロフェッショナルであれ)」。エンジニアの割合が多いので技術者のスキルセットなどに用いている。具体的には、英語にしても別のプログラミング言語でもいいため、四半期ごとに『何か新しい挑戦をしたか』を聞いている。「これら3つを採用時、評価時、全体ミーティングなどで常に確認するようにしている」と山田社長は語る。

もう1つの柱が、OKR(Objectives and Key Results)である。これは目標に対してどれだけ達成できたかを「1」を基準に小数点(0.6や0.7など)を使って表す。これにより、会社やチームおよび個々のメンバーの目標と結果を明確にし、組織のオペレーションとコミュニケーションの効率化をはかることを目的とする。「四半期ごとに、それぞれのKey Resultsを達成できたかどうか。以前、所属していた「Zynga」で導入して非常に良い仕組みだったので、導入を決めた」(山田社長)。