これから10年かけて新しい自分をつくればいい
学生の頃、教師を志しただけに、社員の採用や教育、育成にも熱心だ。強調するのが、「育歴」という言葉だ。人が育ってきた環境のことを意味する。たとえば、学歴が低くとも、それを身に付けるために苦労をし、工夫を重ねてきた人は仕事のレベルが高いという。
「こういう人は、漫然と受験勉強をしてきた人とは違います。会社に入っても、仕事に取り組む姿勢がいい。彼らは、知恵を持っていますから。
うちで働く中国人や韓国人も、過保護の中、育ってきた日本人と育歴が違うから、仕事にひたむきに取り組みます。大相撲では、少数の外国人力士が活躍していますが、社内があのようになりつつあります。いい傾向です」
読者である会社員に向けて、こんなメッセージを与えてくれた。
「現状に不満もあったとしても、悩む必要なんかない。今のあなたは、10年がかりでつくったもの。誰のせいでもない。不満ならば、これから10年かけて新しい自分をつくればいいじゃないですか。20年も30年も、時間はいらない。10年で十分。
ただし、こうなりたいという意識と、それを実現しようとするとするために真剣に取り組むことが前提です。うちの会社の社員は、なかなか変わらない(笑)。変わってくれるとうれしいけれど、変わらないからといって、残念でもないな」