──昨年9月に国内販売を72万5000台に下方修正した。

軽自動車の増税の影響が予想以上に大きかった。少子高齢化で、国内市場の大きな伸びは期待できない。だからこそ競争は激化していくが、国内市場を軽視することはない。グローバルでも重要なマーケットと捉えている。

──国内販売でホンダは、いわゆる自社登録(販売店名義で新車を登録、届出をして販売台数を増やす手法)が多いことが問題視されている。

そういう声もかなり上がった。ホンダと販社の間で目的の共有が希薄になり、販売台数の目標とその方法論が幅を利かせるようになっていた。コミュニケーション不足が原因だが、今回岩村と2人で回り、様々な意見を拝聴できた。まずは、風通しをよくできるよう改善していきたい。

──ここ数年、開発現場に対し相次いで新車を締め切りを厳守して、商品化するよう本社から重圧があったようだが。

それはないと私は考えている。

──中国の進捗はどうか。

15年の目標95万台はクリアできそうだ。新車種が入ればさらに積み上がる。100万台が見えてきた。

競合の後追いではなく先発で

──ホンダはいま活力を喪失しているように見える。相次ぐリコールや国内販売の低迷だけではなく、創業者に関する外向きの美しい話と内部の現実が乖離しているからではないのか。

変化の時代の中で、時代に即した“ホンダらしさ”をつくっていかなければならない。経営の手法も変えていく。ただし、忘れてはならないのはホンダらしさの原点だ。それは、人々の生活に役立ち、ライフスタイルを変えるプロダクツにある。戦後の「バタバタ」「スーパーカブ」「N360」、最近では「オデッセイ」や「フィット」「N-BOX」など、いつの時代も一般大衆に喜んでもらえる製品をつくってきた。競合メーカーの後追いではなく先発で出してきた。この原点はこれからも変わらない。

──特に印象に残っている車種は。

発売当時の「オデッセイ」。私自身それまではセダンに乗っていて、家族でどこかへ行くということはなかった。オデッセイを買ったとたんに「どこかへ行ってみようか」と子どもが言いだして、バーベキューセットを買って遠出するようになった。少しずつ自分の生活が変わっていった。商品で新しい発見をする。そういう提案をホンダはしていかなければいけない。