不況の影響で、再び「就職氷河期」に突入した就職戦線は、厳しさを増している。企業各社は採用人数を絞り込んだため、大学の厳しい選別が行われている。有力人事マンが採用の舞台裏を語り尽くす。
【流通】去年までは学生の完全な売り手市場だったが、2009年に入ってから深刻になり、就職氷河期の再来というか、それ以上だね。去年は学生のみならず大学のキャリアセンターや就職部の職員も企業に対してふんぞり返っていた部分もあったし、黙っていてもうちの学生はどこかの大手に入れると高を括っていた。ところが、そんな楽観ムードが2008年のリーマンショック以降、ガラリと変わった。
【建設】ある大学の就職関係者に聞いたところ、首都圏の大学で一般的に我々がターゲットとしている中位校以上、日東駒専以上の文系男子の内定率は8月中旬段階で6割程度だった。女子学生に至っては5割に遠く及ばないと言っていたね。去年だとこの時期8割を超えていたから、相当の厳しさだ。
【サービス】8月の頭に北海道の私立大学に行って先生と話をしたんだが、この時点では北海道の大学の内定率は3割と言っていた。女子学生の中にはとっくに就職活動を諦めてしまった人もかなりいると言っていた。
【電機】個人的感覚では、2009年は1995、96年の証券不祥事以来の厳しい状況だよ。学生の危機感も相当なものだよ。大学3年生向けの採用ホームページを9月に開設し、エントリーを受け付けているが、2007年までは10月、11月と経つに連れてエントリー数がだんだん増えていったが、2008年は9月段階ですでにエントリー数が例年の倍ぐらいに一挙に増えたまま、その後も変わらない。ほとんどの学生が早めにエントリーしている。
【建設】面接での応対も180度変わったよ。2009年は「御社が第一志望です」と自分から言ってくる学生が増えたね。売り手市場の去年までは、そんなことは自分から言わないし、こちらがあえて聞くと「御社は第一志望“群”です」と言っていた(笑)。