【化学】買い手市場の我々としては余裕があっていいのだが、会社の採用数が決まらないから大変だった。大体毎年10月ぐらいには概算の予定数を決めて、正式には翌年1月の経営会議で決まるんだけど、2009年は会議で揉めに揉めて採用予定数が二転三転した。結局、最終的に数が決定したのは4月の面接直前だった。前年の秋から就職説明会などのイベントをスタートさせキックオフしたものの、いったい何人採るのか数がわからないまま、翻弄されっぱなしだった。

【サービス】うちも2009年の2月と遅れに遅れた。結局、来年春の採用予定数も2009年4月の入社組の半分程度。2009年の入社人数は約500人だが、実際はその半分の250人もいかないね。2008年の4月には約800人入社しているから、約4分の1とかなり減らした。11年採用はさらに減りそうだ。

【建設】採用数が少ないこともあってその分、余裕を持って選考できたのはよかった。正直採用には苦労しなかったね。毎年4月から選考を開始し、4回に分けて募集し、内定者を出していたが、去年までは学生さんに飽きられないために、1回目の内定を出してから、2回目の内定を出すまでに中2日、3日しかないサイクルでやっていた。じっくりと学生を観察して内定を出す余裕はなかったが、2009年は一次面接と二次面接の間隔を開けて面接回数を増やして選考できたので、結構質の高い学生を採用できたと思っている。

【流通】買い手市場といっても我々の業界全体の業績がよくないこともあって採用活動もそんなに楽ではなかった。面接に来る学生数もそう多くはないし、質的にも去年に比べて高い学生が来るかといえばそうでもなかった。ただし、去年までは第一クールの選考でいい学生が来るだけだったが、2009年は第二クール、第三クールでもいい学生が受けにきていた。他社が採用数を減らし、目指す企業に落とされたのかもしれないけどね。

【サービス】うちもじっくりと選考できた。おかげで去年だったら合格レベルの学生でも落ちて、2009年は去年のレベル以上の学生を比較的多く採用できたという感覚だよね。面接官の目線も少なくとも去年よりは質の高い学生をじっくりと探そうという感じだった。

【電機】そうはいっても、うちに限らないかもしれないが、男子学生は女子学生に比べてどうしても質的に劣るね。優秀な男子っていったいどこにいるのかね。総合職は毎年男女同数ずつと決めており、いわば男性に下駄を履かせて守ってきたが、それも限界だ。来年以降は同数でなくてもいいんじゃないかと考えている。

※すべて雑誌掲載当時

(宇佐見利明=撮影)