発明はほとんどがデッドストック

【田原】ネジ以外のものは事業化しないんですか。

【道脇】200は支援者に説明するとき紙に書いた数。頭の中に、その100倍以上のアイデアがあります。

【田原】100倍というのはすごいですね。でも、特許にしたり製品化しないとお金にならないでしょう?

【道脇】現時点でも、国内、海外合わせて200くらい特許を取得、あるいは申請中です。特許の申請は手間もお金もかかるので、すべてはできません。やろうとしたら、たぶんそれだけで人生終わっちゃう。

【田原】ネジ以外では何を。

【道脇】これから力を入れようと思っているのは、「ぷちっぱ」と名づけた製品です。ペットボトルのキャップにつけると、ご高齢の方や障害を持った方など、握力がほとんどない人でも簡単に開けられます。もう特許も下りていますが、宣伝していないのでまだ全然使われていません。高齢化でニーズが高まる商品なので、これからちょっと仕込もうかと。

【田原】最後にお聞きします。僕は資料を読んで、道脇さんは研究一筋の発明家という印象を持っていました。でも、会ってお話しすると、経営者の側面もお持ちだ。ご自分ではどちらに軸足があると思いますか。

【道脇】あまり区別はしていないですね。アイデアの数が膨大でほとんどがデッドストックになっているという意味では、発明家に近いのかもしれません。でも、発明はけっこう戦略的にやっています。たとえばこの技術が公開されたら企業はこう動くだろうから、いまのうちにこれを発明して特許申請を出しておこうという具合に、先回りするんです。その点では事業家的な発想もしているので、どちらとは言いにくいですね。

【田原】わかりました。これからも世間をあっと驚かせる発明を期待しています。頑張ってください。