また、支払い方法を考えるときは、入居者の年齢や介護度も考慮したほうがよいという。

「例えば入居者の年齢が90歳を超えていて、要介護3以上の方。非情と思われるかもしれませんが、現実的に見れば長く存命する可能性は低いわけです。場合によっては数カ月で亡くなられるかもしれません。こんなケースでは高い入居一時金を払って初期償却を引かれるよりも、入居金をゼロにして、月額利用料を高額にしたほうが費用は低く抑えられます」

そこまで極端ではない場合、入居一時金を多く払って月額を低く抑えるのと、入居一時金をゼロにして月額を高く設定するのでは、どちらが有利なのだろう。

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入居一時金の支払い額で異なる家賃の例

「例えば5年償却の施設に5年住んで亡くなった場合、費用負担はほぼ同額になります。それ以前に亡くなったとしても、償却分の残りは返還されます。不公平にならないよう計算されているのです」

入居一時金や月額利用料のほかにかかる費用の有無も家族としては気がかりだ。介護付き老人ホームはすべてのサービスが付いているので大きな出費は考えなくていい。ただし、通院の付き添いなどには料金がかかる。ヘルパーの同行は通常1時間1500円程度だが、通院は待ち時間が長くなることが多く、想定を上まわる金額になることも頭に入れておきたい。