週に3日は会社、4日は宇宙開発

【田原】アメリカでは、どんなことを勉強したのですか。

【袴田】たとえばNASAと連携して、どの研究にどれくらい投資することが適切なのかを研究したりしていました。そういう意味では宇宙工学というより、経営に近い研究ですね。

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ispace代表 袴田武史氏の経歴

【田原】ところが袴田さんは卒業後、コンサルティング会社に就職した。宇宙開発をやりたいなら、国の機関に就職するのが普通じゃないの?

【袴田】そのころXPRIZE財団は、「Ansari X Prize」というプロジェクトを展開していました。これは民間で宇宙旅行ができる機体を開発するプロジェクトです。ジョージア工科大学でそのレースの優勝メンバーの講演があったのですが、話を聞いて、これからは民間の宇宙開発が加速すると確信しました。将来、民間の宇宙開発企業を経営するなら、まずそっちの経験を積んでおこうと考え、調達コストの最適化を得意にしているコンサルティング会社に就職しました。

【田原】その後、「Google Lunar XPRIZE」と出合った。これはどのような経緯だったのですか。

【袴田】JAXA(宇宙航空研究開発機構)に勤めていた友人の結婚式に出たとき、隣に座っていたのがたまたま「Google Lunar XPRIZE」に参加していたヨーロッパチームの人でした。彼が日本人の協力者を探していて、私に声をかけてくれたのです。