経営者、外資コンサル、大企業の部長……高収入の地位に上りつめた“デキる”人。24時間はみな同じなのに、生み出す結果が違うのはなぜなのか? 生産性を高める時間術の秘密を、調査結果から導き出した。
【調査概要】楽天リサーチの協力を得て実施/対象:ビジネスマン600人(20~50代男性、年収層は半分ずつ)/期間:2014年8月1~4日

「時間とは、経営資源。1日24時間という有限の資源をどう生かすかが、個人の生産性を高めるだけではなく、企業全体に大きな影響を及ぼすということに気づく必要があるのです」

と話すのは、エイチ・ピィ・ピィ・ティ代表取締役の坂本裕司氏。様々な企業に対して、ホワイトカラーの生産性を高めるコンサルティングを行ってきた。

今回、年収500万円以下と年収1500万円以上の2つの年収層各300人に対してアンケート調査を実施し、時間に対する意識や習慣について尋ねた。

調査結果を見ていくと、役職が高く、責任の重い仕事についている割合が高い1500万以上のほうが、時間を有効に使っていることがわかった。限られた業務時間内で、なぜ年収を大きく分けるような仕事の成果を生み出せるのだろうか。

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年収500万円グウタラ社員の24時 VS 年収1500万テキパキ社員の24時

「生産性を高めるというと、短い作業時間で仕事量を詰め込むか、残業など1日の労働時間を増やして絶対量を増やせばよいと思いがちです。しかし、実際の生産性とは、期待される成果を出すために必要な時間をきちんと把握してこそ、高められるものなのです」

依頼された仕事に対しても、1500万以上の6割はその到達度がイメージでき、それに近い成果物を生み出している。500万以下は5割以上が到達イメージを描けないまま成果物をつくろうとしていた。坂本氏によれば、「人間はイメージできないものを行動に反映できない」。

まずは「期待される成果」とは何なのかを把握すること。さらに、自分の能力をもってして、その成果物を生み出すためにどれだけの時間が必要なのかを予測すること。その2点を把握せずに、作業時間の短縮はありえないのだ。

これは、成果物を生み出す作業時間だけでなく、場所や時間の条件が皆一律であるはずの会議参加であっても同様だ。1500万以上は、約62%が会議開始前に終了時間を定め、約42%がその会議内容の着地点を見据えている。さらに、約68%が会議では必ず自分の意見を発言し、約30%が議事録を共有してその後の仕事に活用している。

一方、500万以下は、約30%が会議の着地点が見えないまま参加し、約65%が終了時間を決めずに会議を始める。終了後も、約40%が議事録を作ることも共有することもないという。

「同じ時間、同じ会議に参加していても、意識の違いで生み出されるものは大きく差が出る。ホワイトカラーエグゼンプション導入に先駆けて残業を削減したり、残業自体原則禁止したりする企業も増えています。しかし、限られた時間の中でより質の高いものを生み出せる人ならば、何も問題がないはずです」

漫然と会議に“参加”しているだけの人材は何も生み出していない。会議に“参画”して自分ならではの価値を付加したうえで、新たな成果を生み出せる人材が必要とされているのだ。

「同じ時間で生産性を高められる人とそうでない人との差は、こうした意識と行動の違いから生まれるのです。期待される成果に対して時間意識のない行動は、意志のある行動とは言えません」