「クラフトビール」ブーム再燃のワケ
クラフトビールがブームだ。94年の酒税法改正を機に、小規模ビール醸造所が全国で生まれ、第1次地ビールブームが起きたが、数年で収束してしまった。価格と品質が合わなかったなどいくつかの理由が指摘されている。それが2011年ごろからクラフトビールとしてよみがえり、いまブームが再燃している。
というわけで、米国でも同じようにブームが起きているのかと思い、本書を手に取って驚いた。ブームなんてものじゃない。クラフトビールのシェアがビール全体の10%超を占め、確固たるポジションを築いていたというからだ。バドワイザーやクアーズなどをガブガブ飲んでいるイメージが強かったが、そうではないらしい。米国でのビール消費量そのものは減少傾向なのに、クラフトビールは2ケタ成長を続けているという。日本のクラフトビールが市場全体に占める割合は1%に満たないことを考えると、米国の10%超という数字がいかに大きいかがわかる。約2兆円のマーケットだ。
本書はそんな米国のクラフトビールの歴史を丹念にたどり、いかにして現在の地位を築いたのかを詳述したノンフィクションである。著者は米国で人気の高いクラフトビール醸造所ブルックリン・ブルーワリーの創業者。元AP通信記者というだけにジャーナリスティックな視点でビール業界全体を多角的にとらえ、ボリュームを含めて読みごたえ十分だ。
本書によれば、1965年が米国におけるクラフトビール革命元年とされ、パイオニア世代から第1、第2ときて、いまは第3世代に入っている。この間、クラフトビールブルワリー(醸造所)は生れては消えてを繰り返しながらも全体としては増え続け、2014年には3400社以上が存在、いまも全米各地で続々と新たなブルワリーが誕生しているという。