「日本軍」の決断から未来への教訓を問う

先の太平洋戦争で日本はなぜ負けたのか。5人の共同研究者とともに、『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』を上梓して31年。今なお読み継がれているのは、戦史を経営学の視点から分析し、負けた要因の理論化が試みられているからだろう。

歴史は無数の出来事が絡まる複雑系の世界である。そのため、歴史研究の基本は多様な現実をありのままに列挙する。一方、われわれは多様な現実の中に共通パターンを見出し、因果関係を解明しようとした。

野中郁次郎 一橋大学名誉教授

失敗の因果が理論化されれば、読者も自身の経験や属する組織の現実、さらには国の現状と照らし合わせ、個別具体の出来事の意味合いを普遍化して、教訓を導き出せる。また読み返すたびに、そのときの状況に応じて、新たな教訓を読み取ることもできる。そこに、読み続けられる理由があるのではないだろうか。