亡くなる人は増えるが後継ぎは減る。社会の急速な変化にあわせて、介護、葬式、墓の常識は今、ここまで激変した!
【QUESTION】より簡素に、お金をかけない方法はどれがベスト?
「ここ数年で葬儀業界を取り巻く状況は大きく変わりました」と言うのは葬儀相談員の市川愛さん。一番大きな変化は、葬式が簡素化され、式にかける費用が減ってきたということだ。
2008年ごろから広まりだしたのが「家族葬」という言葉。お通夜と告別式は行うが、出席するのは家族や親しい親族と、ごく少数の故人の親友だけという、内輪の葬儀を意味する。これに対して、出席者の範囲がより広い、伝統的な葬式が「一般葬」だ。
最近では都市部を中心に、一般葬が急速に廃れ、家族葬に置き換わってきている。「実際に家族葬を選ぶ人は全体の半数ほどですが、どちらにするか検討する人は8~9割に達する」(市川さん)というのは、ある意味衝撃的だ。
家族葬どころか、もっと簡便な「直葬」を選ぶ人も増えている。お通夜も告別式もせず、火葬と遺骨の引き取りのみというものだ。直葬と家族葬の中間にあたる「1日葬」というプランを用意している葬儀会社もある。
なぜ家族葬が人気なのか。それは「費用が安い」「手軽」というイメージが先行するためだ。しかし、本当にコストを安く抑えられるかどうかは「ケース・バイ・ケースです」と市川さん。ひとつには、費用総額と香典収入との差し引き計算があるからだ。
「家族葬だと参列者が少ない分、葬儀費用は一般葬よりも安上がり。しかし出席者が少ないので、香典収入も少ない。私の経験では、葬儀費用から香典収入を差し引いたトータルの持ち出し額は、家族葬も一般葬も変わらないことが多いのです。『費用が同じなら、一般葬がいい』と考えを変える人も少なくありません」(市川さん)