では、クレーマーなどわけありの人物からの申し立てにはどう対応するか。

「他の社員と連携して、話を聞く人員を2人に増やしたり、『録音させていただきますね』とレコーダーを回したりして、相手を揺さぶることが有効です。また、こちらが急に黙り込んだり雄弁になったり。黙ったまま固まったり、ふっと席を外したり。相手がイチャモンをつけるのが狙いなら、そんなテクニックで心理戦に持ち込んでもいいでしょう。ただし、何でもかんでもこちらに都合のいい方向に、強引に持っていこうとしてはいけません」

同白書によれば、苦情の一番の原因は「こちらの配慮不足」(全体の約50%)だったが、申し入れ者の「勘違い」も約23%あった。4件に1件は客側の問題なのだから、少なくはない。

例えば、「買ったばかりの家電が動かない」と怒り心頭で、メーカーのお客様相談室に電話しても、「まず電源がコンセントにつながっていますか?」と確認された時点で、「あっ、いけね!」と即問題解決するようなケースだろう。

「どんな仕事でもお客様のミス・勘違いはあります。しかし、その対応時に絶対に迷惑顔をしてはいけません。むしろ、より丁寧な説明が必要で、やんわりと間違いに気付かせる工夫が求められます。それがあれば、お客様はより自社商品のファンになってくれるでしょう。逆にそれがないと、お客様は離反してしまいかねません」

先の家電の例でいえば、「説明書には『電源をご確認ください』と記載しておりますが、字が小さくてご不便をおかけしてしまったでしょうか。ただ、文字を大きくすると説明書のページ数が増え、逆にご迷惑をおかけしてしまう可能性があり……」と客に恥をかかせぬ対処ができると完璧だろう。客に勝ってはならぬ。負けるが勝ちだ。

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