親が高齢になるにつれ、介護Xデー到来に不安を抱く現役世代は多いはずだ。

国の資料によれば、介護保険サービスの一人当たりの平均利用月額は、自宅で介護サービスを使っている場合で11万円、特別養護老人ホームや老人保健施設、介護療養型医療施設などの施設入所の場合で、平均33万円となっている。これはあくまで平均値で、要介護度や利用サービスで異なってくるが、自己負担はその1割。これに食費や部屋代などの保険外費用がプラスとなるが、これが厄介だ。例えばデイサービスの昼食代も500~800円と事業所によって様々。施設へのショートステイの部屋代は、4人部屋でも1日320~530円といった違いは当たり前で、個室では1日、2000円前後から4000円以上と差はさらに広がる。介護費用には、知らないと損をする落とし穴がいたるところに潜んでおり、どの事業者を選ぶかで費用は大きく変わる。

なかでも初期費用が膨らむ介護スタート時は要注意だ。介護は脳卒中や転倒骨折から始まることが多いが、退院後の生活で即必要となるのが、電動ベッドや車いす、ポータブルトイレやシャワーチェアなどの福祉用具。

「特別セール、最新電動ベッド26万5000円が、今なら特価14万8000円」「当店人気ナンバーワン機種54万8000円が27万8000円。日本全国送料無料」といった広告につられ、ネット通販で郷里の親元へ慌てて福祉用具を手配する孝行息子や娘は少なくない。しかし、早まるなかれ。

介護保険を使えば、電動ベッドや車いす、工事不要な手すりやスロープ、歩行器や歩行補助杖、床ずれ防止用具など、付属品も含めて12種類は自己負担1割でレンタルできる。ちなみに希望小売価格40万円弱の電動ベッドも介護保険レンタルなら運送、設置、調整費用を含めて1カ月の自己負担は1300円前後。状態変化に応じて機種変更やマットレス交換、メンテナンスも受けられるが、購入した場合はそうはいかない。