2点目は、今回の判決が高裁レベルであるため、慣習を覆すには、最高裁の判断を待つ必要があるというものだ。

裁判所が過去に示した判断を、「判例」というが、厳密には、最高裁判所の判断だけが判例としての価値を持つ。また、裁判所法4条には「上級審の裁判所の裁判における判断は、その事件について下級審の裁判所を拘束する」とある。つまり、高裁以上では、まだどのような判断が下るかはわからないのだ。

更新料は、これまで長い間、慣習として定着していた。にもかかわらず、その正当性が問われる事態となった背景には、「世の中の大きな『消費者重視』の流れがある」(同)。

かつて、滑り止めで受験した大学に納めていた入学金は入学しない場合にも返金されないのが常識だったが、今では返金されるようになった。9月からは新たに消費者庁が設置されるなど、消費者重視という時代の流れは加速している。更新料に対する風当たりが強くなっているのも、この延長線上にある。

また今後、新たに問題となる可能性があるのが「礼金」だ。実は更新料よりも根拠が脆弱だ。

「訴訟になれば、その根拠が認められるかどうかはわからない。現に『礼金ゼロ』の物件も増えてきている」(同)

今後、更新料や礼金の扱いはどうなるのだろうか。最高裁の判断が注目されるところだ。

(ライヴ・アート= 図版作成)
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