時間を効率的に使うという視点からすると、4番目の非緊急&簡単な仕事で時間の使い方に大きな差が出ると吉田院長は言う。

「たとえば経費精算のような単純作業は、溜まったところでまとめてやる。このとき重要なのは何日までにやるというデッドラインだけは最初に決めておく。そして、退屈で面倒な作業は、ダラダラやらず、タイムレースのように速く処理することを心がける」(吉田院長)

では複数の仕事をかけ持つ場合、1つひとつ完了させるべきか、それとも同時進行で処理すべきなのか。

「1つひとつ逐次的にやるほうが効率よさそうに見えるけれど、1つの仕事を20分間続けてやる場合と、10分ずつに分け、間に違うことをやる場合だと、仕事を分けた“間欠型”のほうがパフォーマンスが高まることは知られています。軽く終わらせられるものを分ける必要はありませんが、長いスパンで取り組むものは、同時進行で進めたほうが作業効率は上がりやすい」(篠原教授)

吉田院長も同意見だ。

「Aの案件を終わらせてから、次にBの案件にいくというのは、大変危険で非合理的。同時にやっているとBをやっているときにでも、脳は無意識にAを考えている。だからアイデアを思いつく可能性が倍になるのです」

吉田院長が勧めるのは、まずフォーム、形式だけでも整えましょう、だ。

「企画書とかプレゼン資料の作成ならタイトル、名前、思いついた項目など、書けるところは何でも書いてしまう。そうすると何もない状態で1から考えるよりもはるかに整理しやすい。脳も半分できたような気になって安心する。するとより創造力が高まるのです」

諏訪東京理科大学教授 篠原菊紀
1960年、長野県生まれ。東京大学卒業後、東京理科大学諏訪短期大学助教授を経て、現職。脳計測器多チャンネルNIRSを使って、脳活動を調べている。『一生クビにならない脳』ほか著書多数。
 
本郷赤門前クリニック院長 吉田たかよし
1964年生まれ。東京大学大学院で生命工学を研究しながら国家公務員I種経済職試験に合格。NHKアナウンサー、代議士秘書を経て、医師免許取得。日本初の受験生専門心療内科クリニックを開設。
(遠藤成=撮影)
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