ダラダラ仕事することがなくなった
女性が活躍するようになると、男女とも効率的に時間管理をする人が増え、仕事の生産性が上がった。仕事が何時に終わるかわからない時代は、5時半にはラーメン屋へ行き1時間くらい夕食をとった後、「もうひと頑張りするか」と仕事をしていたものだ。だったら7時までみっちり仕事をこなし、その後に家族や友人と食事をしたほうがよい。
そもそも夜中まで仕事をする働き方では、頑張る女性がいなくなってしまう。体力勝負では男性が勝つに決まっている。それではいけない。
今後も当社では女性管理職の割合は増えていく。ただし、社会的に女性管理職を増やそうとの気運が高まっているが、強制的に「3割に増やしなさい」というやり方をすると、うまくいかないだろう。成果を出していない人を女性というだけで引っ張り上げれば、男性はやる気をなくしてしまう。実績を挙げている女性社員にとっても迷惑だろう。大切なのは評価を公平に行うことだ。男女関係なく評価を公平に行っていけば、成果を出す女性が必ず生まれてくる。
男性ばかりだった証券会社で違う価値観を持つ女性が活躍した結果、当社の男性たちは大いに刺激を受けている。つまり、女性が活躍できる環境は男性のためにもなるのだ。共働き世帯がより増えていけば、男性の家事や育児の負担も増えていく。そのことが仕事のヒントにつながることもあるだろう。
これから多くの会社で、出産、育児などで女性のキャリアが断絶しない仕組みが整えられていくだろう。同時に、長時間労働によって評価される文化が薄れ、男女に関係なく、仕事の成果によって公平な評価が行われるようになる。女性管理職が30%になるときの働く環境は、そうなっているのではないだろうか。
大和証券グループ本社会長 鈴木茂晴
1947年生まれ。慶應義塾大学卒業後、大和証券(現・大和証券グループ本社)に入社。引受第一部長、取締役、常務、専務を経て、2004年に社長。11年から現職。
1947年生まれ。慶應義塾大学卒業後、大和証券(現・大和証券グループ本社)に入社。引受第一部長、取締役、常務、専務を経て、2004年に社長。11年から現職。
(宮内 健=構成 上飯坂 真=撮影)