必要以上に物事を深刻に捉えない方法

このニューロロジカルレベルという概念を知っておけば、出来事をどのレベルで捉えるか、どのレベルの問題か区別することができます。

たとえば、外国人との会話でうまく単語が出てこない、話しが通じずイライラされたときに「私は英語の才能がない」と悩む人は結構いるものです。この時、心理的なダメージがとても大きいのですが、忘れてはいけないことは、英語は単なる言語であり、習熟可能なスキルにすぎないということ。スキルの次元で捉えていれば、自己認識レベルに波及しません。

また、「私は段取りが悪い」と口癖のように言う人がいます。段取りが悪いと何度も言われると「私=段取りが悪い人」という公式ができ、自己認識レベルでショックを受けているのです。自己認識のレベルは自分の根幹に関わる部分なので、とてもインパクトが大きいです。

問題や悩みは、行動やスキルレベル(レベル3程度)で考えるのがいいのです。

上司に責められ……悩み解決ドキュメント

今度は、上司に怒られたCさんの悩みを解決してみましょう。対話形式でご紹介します。

Cさん:上司に営業成績が悪いことを会議で責められてしまって……。それで、気分が落ち込んで、もう3週間あまり営業への意欲が落ちているんです。
古川:何と言われて怒られたのですか?
Cさん:「君は、昨年も営業目標は未達成だった! 今年こそは何とかしてもらわないと困る」って。みんなが見ている前で怒られたんです。
古川:Cさんは今それを聞いてどのように感じているのですか?
Cさん:私には営業の才能がないのだと思っていて、それで落ち込んでいるのです。
古川:ちなみに営業成績は入社以来ずっと低いのですか?
Cさん:いいえ、昨年と今年が連続未達成なんです。
古川:それまではどうだったのですか?
Cさん:はい、中の上ぐらいの成績で、5年前は営業部で3位になったことで表彰されました。
古川:営業で表彰される人がなぜ営業の才能がないと悩むのですか?
Cさん:う~ん。あのときは運が良かったこともあったのです。
古川:ただ、この10年で2年だけ連続して未達成なだけなんですよね? 予算達成率は80%ということで認識は合っていますか?
Cさん:まあ、そうです。
古川:ここ2年は、これまでと何が違うのですか?
Cさん:大きな顧客が3社、後輩の営業に移管されました。その減少分を上司は、新規顧客の開拓によりカバーすることを期待しているのですが、それがうまくいっていないのです。
古川:では顧客環境が変わったのですね。整理すると、未達成になった原因は2つ。1つは大口顧客3社が後輩に移管されたことで受注額が減ったという環境の問題と、2つ目は新規開拓営業がうまくいっていないということですね。