ラジオ番組の制作に向いていた

県立高校を辞めた後は、通信制の高校に移り、卒業した。2003年、広島工業大学専門学校の音響芸術学科に入学した。コンサートスタッフになりたかったという。この頃、RCCフロンティアでラジオ番組スタッフのアルバイトを募集していたこともあり、エントリーした。これが、ディレクターになるきっかけとなる。

ラジオ番組の制作は、メインディレクターと、スタジオで音響を担当するミキサー・ディレクターなどで成り立つ。通常は、ミキサー・ディレクターからスタートし、番組全体を仕切るメインディレクターになっていく。

「私がアルバイトとして働き始めた10年ほど前は、多くのラジオ局で制作費を圧縮する動きがあった頃でした。その一環としてメインディレクターが、ミキサー・ディレクターを兼務するようになったのです。
私は専門学校で音響を多少なりとも学んでいましたから、『ミキサー・ディレクターならばできるかもしれない』と判断していただいたのかな、と思います。これも運がよかったのでしょうね」

2005年、専門学校を卒業した。RCCフロンティアでラジオ番組の制作に本格的に携わるようになった。社内には専門学校卒の社員もいれば、大卒の社員もいる。板倉さんは、待遇や仕事などで学歴による差を感じたことがないという。

「ほかの社員と話すときなどに、戸惑うことはあります。私よりも年上であっても、大学を卒業していると、入社年次が後になる人がいます。その場合、互いに敬語を使いながら話すことがあるのです。こんなとき、どのように話せばいいのかな、と迷いますね。

大学を卒業しておけばよかったな、と感じることもあります。例えば、取材先で知り合った、ある会社の上司がご自身の部下のことを、『彼は○○大学出身だから、優秀なんだよ』と話されたことがありました。そんなとき、こういう見方をする方もおられるのだなと思いました。学歴の話になると、高校の頃をふっと振り返ることはありましたね」

アルバイトとして半年ほど働くと、契約社員になることができた。仕事には、魅力を感じることが多いという。

「私の性格は、ラジオ番組の制作に向いていると思います。取材などを通して、いろいろな人とお会いできますから、いつも刺激があります。毎日、同じことの繰り返しの仕事ならば、もしかすると辞めていたかもしれませんね」