わからないことはすぐに周囲の人に聞く。この習慣も仕事の効率を確実に上げてくれます。とくにITは進歩が速いので、自分で調べるよりも得意な人に教えてもらうほうが時間の節約になるので絶対に得です。

相手との距離を縮めるのにも質問が役に立ちます。とくに外国人相手だと日本人は引っ込み思案になりがちですが、情報が少ない相手ほど、質問して相手のことを聞き出すべきです。外国人の交渉相手と会食をしたときのこと。私がいつものように家族や趣味など仕事と関係ない話をあれこれ質問すると、相手は切手に興味があるらしいということがわかりました。そこで、次に会うとき日本の切手を持っていったところ、以後の交渉が非常にスムーズに進んだという経験があります。

最後に、組織の効率化についても言及しておきましょう。これはそれぞれの役割をはっきりさせることに尽きます。会社では私はCEOを演じる役者で、脚本家でもあります。しかし、脚本に書かれていないことはしない。もちろんできることもありますが、それをやってしまうと肝心のCEOの役が疎かになってしまうからです。一人ひとりが自分の役に専念し余計なことはしない。これが組織を効率化する基本です。

時間管理3カ条
1. iPhone、iPad、手帳を使い分け
2. 24時間メールをチェック
3. 英語で直接交渉
●津谷CEO兼会長のある1日

05:00 起床 メールチェック、日刊紙・「New York Times」を読む。シャワーを浴び、朝食
07:30 出社
08:00 アメリカと電話会議
09:00 電話、メール
10:00 会議
12:00 ランチミーティング
16:00 エコプロダクツの講演原稿チェック
18:00 会社を出る
18:30 会食開始
21:00 会食終了
21:30 帰宅し、シャワーを浴びる
22:00 妻と会話する
22:30 好きな音楽を聴きながら、歴史小説、英語で推理小説を読む
23:30 就寝

ブリヂストンCEO兼会長 津谷正明
1952年、東京都生まれ。都立青山高校卒。76年一橋大学経済学部卒業後、ブリヂストン入社。83年シカゴ大学経営大学院修了。国際業務畑を歩み、2006年執行役員グループCEO室担当、08年取締役常務執行役員、11年代表取締役専務執行役員を経て、12年代表取締役執行役員CEOに就任。13年から現職(会長兼CEO)。
(山口雅之=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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