牛乳の「白」が合う人、合わない人
牛乳の色が白いのは、牛乳のタンパク質(カゼイン)のコロイド粒子によって光が反射されるからである。しかし、この「白」には、漢方の陰陽論では大きな意味がある。
人間は、「赤ちゃん」という体温が高く赤血球が多い「陽」の状態で生まれ、年齢と共に少しずつ体熱が下がり、白髪になり白斑が出て白内障をわずらうという具合に、齢をとるにつれて「冷え」の色の「白」に近づいてゆく。そして、ついには「陰」の状態の「白ちゃん」(老人)になって死ぬ。この陰陽論からすると、白色の牛乳は「赤ちゃん」にふさわしい食物であり、「白ちゃん」(老人)が飲むと体を冷やしたり、冷えの症状である「下痢」をする、という心配が出てくる。
ただし、陰性の食物も熱を加えると体を温める陽性の食物に変わる。牛乳(白)に熱を加えたチーズは黄色になって、体を温める食物に変化したことを示している。だから、「老人」や「冷え症の人」、冷えからくる胃炎、胃潰瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎、リウマチなどをわずらっている人には、牛乳よりチーズがよい、ということになる。
逆に、体熱が高く、赤ら顔の陽性体質の人で、高血圧や痛風などの陽性の病気をわずらっている人にとっては、熱を冷ましてくれる牛乳が有益である。
※本連載は『なぜ、「おなかをすかせる」と病気にならないのか?』(石原結實 著)からの抜粋です。
石原結實(いしはら・ゆうみ)●医学博士・イシハラクリニック院長。1948年、長崎県長崎市生まれ。長崎大学医学部卒、その後同大学院博士課程を修了。1982年、イシハラクリニックを東京に開設。
オフィシャルサイト http://www.ishihara-yumi.com/
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