寂しんぼ女子は、既婚者にも存在する

同じくアラサー独女のユカリさん(仮名・31歳)は、29歳のときにある大きな決断をした。

30歳になる前に学生時代からの「イタリアで暮らす」という夢を果たしたのだ。以前、旅行代理店に勤務し、マネージャー職として社内でも将来を期待されていた人材だっただけに、退職の希望を出したときは上司に何度も止められたそう。

それでも、「一度きりの人生、夢を叶えるなら今しかないんです」と懇願し、夢を叶えることに。海外での生活に不安もあったが、友人たちもみな応援してくれ、それを励みにした決断だった。それから1年半。彼女は今、イタリアで誰にも言えない寂しさを痛感しているという。

「当たり前ですが、現実は厳しいです。家賃を払うために午前中は学校、昼から会社、夜はレストランでバイト。イタリア人のセクハラ的なきついジョークに慣れず涙することも。周りにいる学生仲間は20歳そこそこのコたちばかり。日本からの便りは結婚した、転職したなど前向きな話ばかり。私は、夢を叶えたという割に、ただの苦学生になっただけ。しかも大金を払って。あのまま日本にいたら、昇格していただろうな。結婚もしていたかもしれない。そう後ろ向きなことばかり考えてしまいます。でも、自分には意地とプライドがあるから、このままノコノコと帰国するわけにはいかない。イタリアで『手に職』を掴むまでは踏ん張るつもり」(ユカリさん)

寂しんぼ女子は、既婚者にも存在する。

トモミさん(仮名・28歳)は、合コンで知り合った男性とおつき合い1年足らずでスピード結婚。すぐに妊娠し、会社を辞めて専業主婦になった。一流企業(飲料メーカー)に勤務していたトモミさんは、同期や学生時代の友人のなかでいちばん早くに結婚。

本人はある意味、それが自慢でもあった。ところが、いざ、専業主婦になってみると、優雅どころか退屈でしかたがない。

「たまに、同期や友人が遊びにきては仕事の愚痴をこぼしていくのですが、それすら羨ましく思ってしまうんです。子どもはたしかに可愛いけれど、成長していく子どもを見る一方で、自分だけが成長をストップさせられた気になって……」

社会から取り残された孤独感――。それがトモミさんの抱えている寂しさだ。夫は残業続きのため、まだ1歳たらずの子どもと1日中家にいる生活のなかで、その思いを共有できる相手はなし。「今どき、専業主婦なんて羨ましい限りだよ」と言う同世代の女子たちに、そのもやもやとした寂しさを訴えても、嫌味にしか聞こえないだろうと考えると、やはり誰にも言えないのであった。

近所のママ友との付き合いも案外神経をすり減らすので、ストレス発散もできない。というわけで、ふと気づくと、家に荷物を届けてくれた宅配便のお兄さんと玄関口で世間話している自分がいるという。極めてアブナイ兆候と言わざるをえない。

寂しくてたまらないのに、弱音を吐ける場所がない。一見、順風満帆そうに思えるのに、孤独感にさいなまれている女子たち。社内で颯爽とした活躍をする女子たちも、そんな悩みを持っているかもしれない。

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