結局、いくら貯めれば老後は食っていけるのか?

老後資金として必要な金額は、いくらだと思いますか?

全国の働く3万人へのアンケート調査では2,953万円でした。つまりは約3000万円(出典:フィデリティ退職・投資教育研究所/回答者数:正社員約1.9万人、非正規社員約1万人、公務員約0.2万人、自営業者約0.18万人)。

この金額をあなたは多いと思いますか? それとも少ないと思いますか?

必要な老後資金は、誰もが知りたいことなのになかなかズバリいくら! という答えが手に入りません。その理由は、老後生活で使うお金の額が現役時代以上に個人差が大きいことにあるように思います。

たとえば住居費です。

住宅ローンを完済した人ならば毎月の住居費は0円ですが、マンションの場合は管理費や修繕積立金等でおおよそ月約2万円が必要です。

賃貸の人ならば現在の家賃が10万円の場合、当然ですが老後も10万円の支出が続きます。

また、仕事をしていたときに比べ、時間にもゆとりが持てるので、その余暇時間の過ごし方によっても支出は変わります。

「平日は図書館に行って好きな本を読んで過ごし、時々は体力づくりのために近所の山歩きをやってみよう」と考える人なら老後の支出は少なく抑えられますが、「働いているときにゆっくりできなかった分、退職後は旅行したり、家を改築したりして、思い切ってやりたいことを全部やろう」と考える人の支出は図書館組よりも高くなります。

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年金額の目安

老後資金といえば必ず「年金っていくらぐらいもらえるんですか?」という質問を頂きます。

そのときはわたしから、「老後にどんな生活を送りたいですか? それには1カ月あたりいくらぐらいのお金が必要ですか?」とお尋ねしますが、返ってくるのは「そんなこと、考えたことないです」という答えです。

未経験の老後の生活を想像することは難しいものですが、本当に自分に必要な老後資金を知るためには、この作業を避けて通りことはできません。各種調査の「平均額」に振り回されるよりも、まずは親御さんや周りの先輩方を参考にして、自分が65歳、70歳になったときの生活をイメージしてほしいのです。

年金収入も、先ほど紹介した支出と同じように個人差が大きいのですが、平均額は男性会社員が年間約204万円、女性会社員は年間約120万円です(厚生労働省年金局調査より。男女ともに老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額)。

女性会社員の年金が少ないことに気付かれるかと思いますが、統計資料の「平均」には注意が必要です。男性は長期間働き続けることが多いので、厚生年金の平均加入期間が約36年なのですが、女性は20歳から60歳まで働き続ける人もいれば、20代で退職する人もおり、一旦退職してから復帰する人もいます。

その結果、女性の平均加入期間は25年と男性より短くなっているので、年金額も男性より少なくなっているのです。これを目安として、女性会社員が25年以上働くのならそれ以上の年金がもらえ、25年よりも少なかったら120万円より少ない、と考えてください。