中途半端な形で終わらせてはいけない
●岩沙弘道 三井不動産会長
「日本の経済は今年はよくなると思います。不動産に関しても実体経済がよくなってくるのに伴って、オフィスマーケットが良くなってきますし、住宅市場も昨年に比べると、いろいろな面で復活の兆しが出てきていますから、今年は昨年以上に伸びると思います。『アウトレット』などの施設もこの春、われわれ企業側が賃上げでかなり前向きに頑張りますから、原油安も含めて消費者が消費していただく環境が整うのではないかと思います。さらに設備投資もしっかりやり、景気の好循環につなげていきたいと思っています」
●志賀俊之 日産自動車取締役
「年末にかけていい年になると思う。『アベノミクスをこのまま終わらせてしまってはいけない』と経済界の人たちが思っていて、アベノミクスを好循環にのせるための努力を経済界の人達自らがやっているからです。たとえば日本への投資を増やしたり、賃上げをしたり、中小企業を助けたりして、このままアベノミクスが中途半端な形で終わってしまわてはいけないと経済界の人たちが本気で考えている。そうすると、応援団がでてくるので、官民協力してやっていける。官だけだとどうしても好循環につなげることが難しい。民と一緒になってやっていくことができれば、今年はいい年になるはずだと思います。
円安が日本の経済にはプラスにならないんじゃないかといった議論も一部でありますが、円安はまだまだ日本経済にとっては大きな利益をもたらすものだと思います。1ドル80円のころは我われは本当に苦労した。それが100円になり、一息つき、そして120円となった。これはかなり大きな追い風だと思います。ただ円安のメリットがまだ十分波及していない。それが波及していくと、もっともっといい状況になるのではないでしょうか」
●斉藤惇 日本取引所グループCEO
「今年は悪い年になる要素というのはあまりないと思います。ただ、あえていうなら欧州とロシアが鬼門でしょう。これは経済と地政学が絡んでいて、今ルーマニアは状況が悪い。この寒いさ中に原子力発電が止まっていて電気が供給できない状況にある。石炭はロシア側が抑えていて、南アフリカから輸入しているのですが、支払うお金がない。EUが団結してルーマニアを救済するかといえば、そういう動きができない。EUも非常に複雑で、EU解散など右翼の動きが非常に強く、非常に難しい。そういう点をあえていえば、難しい点はある。しかし金融緩和は今後も続くでしょうから、日本や米国は基本的に経済がようなってきていますから、悪い環境ではありません。特に日本の場合は企業利益が非常によくなっている。3月決算が5月ごろにはどんどん出てきますから、日本経済のよさというものがはっきりとわかるようになるのではないでしょうか」
「景気回復軌道をより確かなものとし、その実感を全国津々浦々にまで届ける」(安倍晋三首相)というアベノミクスの真価が問われる2015年が始まった。