リバースモーゲージの落とし穴

もう一つ注目を集めるのが、親の自宅を担保に自治体や金融機関から融資を受ける「リバースモーゲージ」だ。これを利用すれば、老後資金や介護費用が不足したときは、住み続けながら生活費を捻出できる。都道府県社会福祉協議会が「不動産担保型生活資金貸付制度」として実施しているほか民間の金融機関でも行っている。主に土地付き戸建てが対象になるが、東京スター銀行のリバースモーゲージ「充実人生」は、担保評価が難しいマンションも一部のエリアでは融資の対象にしている。

必要資金を一度に貸し付けるパターンと毎月一定額を貸し付けるパターンがある。通常の融資と同じく利子がかかる。死後に自宅を売却して返済に充てるのが一般的だが、相続人が現金で返済すれば、自宅を売却する必要はない。ただ、金利が上昇したり、地価の下落で担保価値が目減りしたり、長生きしたりすると担保割れし、借り入れできる金額が変動するリスクがあることを承知しておこう。

黒田尚子(くろだ・なおこ)
CFP、一級FP技能士、消費生活専門相談員
株式会社日本総合研究所に勤務後、1998年FPとして独立。個人向けの相談業務、セミナー・FP講座等の講師、書籍や雑誌・Webサイト上での執筆など幅広く行う。消費者問題にも注力
(吉田茂人=構成)
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