肥満やバカは「伝染」してしまう

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組織は共同体から機能体へ

「弱いつながり」だけでなく、「強いつながり」をもつ相手も、しっかり選んだほうがいいでしょう。

社会学では、社会集団のあり方を「ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」に分けて考えます。前者は地縁や血縁など自然発生的に集まった人たち、後者はある目的を達成するために集まった人たちです。これまでの日本社会ではゲマインシャフト的な組織が優勢でした。日本では会社組織すらその代表例です。同質な人たちが、決められた方向に、一斉に走っていく。そこでは「会社縁」ともいえる社会集団が形成されます。

ところが、グローバル資本主義の進展で、それでは成長が望めなくなりました。そこで重要になるのが、ゲゼルシャフト的な組織、すなわち目的志向型の組織です。会社組織のなかでも、ビジネスの変化にあわせて、多様な人材を束ねたチームで仕事をすることが増えつつあります。自然発生的に集まった「なあなあ」の関係のゲマインシャフト的な集団を、目的がきちんとあるゲゼルシャフト的な集団へ転換していくことが求められています。

あなたがゲマインシャフト的な人脈しかもっていない場合、「同調圧力」によって成長機会を失ってしまう恐れがあります。

たとえば、肥満は「伝染」します。ハーバード大学医学部のニコラス・クリスタキス教授は、1万2067人を対象に32年間におよぶ体重の遷移を、その人の配偶者、兄弟、親戚、友人関係などの社会関係とともに詳細に分析しています。調査の結果、「肥満の友人がいると、肥満になる確率は57%上がる」ということが明らかになりました。

しかもこの傾向は、特に親しい友人が肥満である場合に加速する傾向が強い。肥満の友人が多いと、別に肥満でも問題ない、むしろ肥満でなければいけない、と思うようになる。これが「同調圧力」です。

東京大学の合格者が多い「名門校」が生まれる構造も同じです。名門校に入ってきた生徒の学力はたしかに高いのですが、合格実績はそれだけでは説明がつきません。灘や開成、麻布といった名門校では「東大に行くことが当たり前」であるがゆえに、多くの生徒が東大に行くのだと考えられます。

人は影響されやすいのです。だから、まわりに成功している人が多ければ、成功することが当たり前だと思って努力します。ところが、まわりに成功者がいない場合には「成功するというイメージ」がもてないために、努力ができず、むしろまわりが成功に縁遠い人間ばかりだと、「成功すると人間関係が悪くなる」と考えて自滅的な行動に出てしまうことすらあるのです。