図を拡大
「仮説思考」ではリソースの違う人に聞け!

フェイスブックのもうひとつのリスクは、自分の考えを再確認するだけのネットワークをつくってしまいがちである点です。システム上、決められたグループで固まりやすいため、居心地はいいのですが、メンバー間での「馴れ合い」が生じます。

僕はフェイスブックよりツイッターのほうが「仲間づくり」には向いていると考えています。ツイッターは完全に分散されたネットワークです。偶然に発生するつながりが多く、グループが離合集散するサイクルも速い。ハッシュタグなどを通じて、趣味やテーマでグループができることも多く、そこから意外なつながりができることがあります。

たとえば私の場合、近代史についてやりとりをするグループのなかに、ときおり政治問題にシャープなコメントを寄せる方がいました。略歴には「九州に単身赴任中です」とだけ書いてあった。ところが、そのグループで実際に集まって、お互いの正体を明かしたところ、その人はあるメディア企業のキーパーソンだとわかりました。以後、ツイッターの外でもやりとりが続いています。

フェイスブックやミクシィにも趣味やテーマで「グループ」や「コミュニティ」をつくる機能があります。最初はやりとりが活発にありますが、だんだん衰退する。それはメンバーが固定化するからです。同じ興味関心をもったメンバーであっても、定期的に飲み会を開いて集まるだけでは何の刺激もないため、次第に人は減る。これに対し、ツイッターのつながりは瞬間的なもので、やりとりの有無によってメンバーが絶えず入れ替わる構造になっているため、「馴れ合い」になりづらいのです。

同じような人たちと馴れ合うことのリスクは、コンサルティングの世界でよく用いられる「仮説思考」という言葉でも説明できます。

よく誤解されますが、「仮説思考」とは自らの立てた仮説を補強する材料を集めることではありません。仮説を否定する材料を探し、それがなければ仮説を正しいとする。あるいは仮説を覆す材料があれば、仮説自体を変えて、新しい仮説を考える。こうして仮説、実験、検証のサイクルを繰り返すやり方です。

自分の「仮説」が不確かなものでも、自分と似たリソースの人に相談すると、同じようなロジックから、同じような結論に至り、賛同ばかりを集めてしまう恐れがあります。年齢、性別、学歴、業種、趣味……。強度のある「仮説」とは、このようなリソースの異なる人々に意見を求めていくなかで、進化して最終的に導かれるものなのです。