「花子とアン」銀座の社交場

日東珈琲会長 長谷川浩一氏●老舗カフェの3代目。王子製紙に勤務した後、家業を継いだ。戦前のカフェーパウリスタは文化人、学生の社交場として大繁盛。連続テレビ小説「花子とアン」に登場したカフェはこの店がモデル。

NHK連続テレビ小説「花子とアン」に登場したカフェは、この店がモデル。9月には店舗をリニューアルして座席数が95席に増えた。

「レトロ調で人気のため、土日には行列ができ、お客様を待たせてしまっていた。その混雑解消が一番の目的です」

店を運営する日東珈琲の長谷川浩一会長(同社の3代目社長)は、こう説明する。

現在の主力事業は通信販売とコーヒー豆の卸で、中堅焙煎メーカーとして存在感を示す。特にブラジル・サンパウロ州の特定の農園主が栽培する「森のコーヒー」は、新聞広告やネット広告でもおなじみだ。店の看板メニューも、このコーヒー(510円=税込み)で、有機・無農薬栽培のコーヒーは、飲みやすい味で多くのお客に親しまれている。

カフェーパウリスタと同様、「人と人とが出会い交流する場所」としてカフェづくりを進めてきたのがカフェ・カンパニーだ。明治時代創業のパウリスタに対して、こちらは01年創業と伸び盛り。

カフェ・カンパニーが経営する店の一つが、渋谷・宮益坂の裏通りにある「モジャ・イン・ザ・ハウス」だ。階段を上がって店に入ると、どこか懐かしい空間が広がる。楠本修二郎社長が狙いを語る。

「そもそも、カフェの魅力は“まぜこぜ”であること。それを念頭に80年代の音楽とかメニューとか、いろんな要素を盛り込んで“編集”したのがこの店です。だから昔を懐かしむ人というよりは、多様な方が利用されています。たとえば若いおしゃれな奥様が、お子さんを連れてこられますよ」