「世襲制限」は自民党も議論済み

「議員の世襲」は有権者の選択肢を狭めます。「三バン」を持たない新人候補が、世襲候補に挑戦するハードルは高く、多様な候補者が揃う可能性をつぶしてしまいます。このため私は日本の選挙制度には「世襲制限」が必要だと考えます。

いろいろな考え方がありますが、ひとつの具体案としては、「同一選挙区での世襲の立候補を法律で禁止する」というものがあります。2009年、民主党は「三親等以内の親族が同一選挙区から連続して立候補する際の世襲制限」を政治資金規正法改正案に盛り込もうとしました。一方、このとき自民党は「世襲候補者に党が公認を与えない」という制限を議論しています。

この民主党案に対しては、一部から「憲法違反ではないか」との批判も出ました。立候補を禁止することは「14条1項」の「法の下の平等」に反する政治的な差別になるのではないか。または「15条1項」の立候補の自由を侵害するのではないか。

「22条1項」の職業選択の自由の制限になるのではないか。主な批判はこのようなものでした。

しかし、人権は絶対無制約なものではありません。他人の権利自由や重要な価値に害を及ぼすような権利の行使は、「公共の福祉」(憲法12条、13条)を理由に制約されるのです(※2)。もちろん世襲候補者の自由を守る必要もあります。重要なことは、世襲による不都合を無くしていくという「規制の目的」です。世襲制限が「公共の福祉」による制約として認められるためには、規制目的を達成するための必要最小限度とすべきです。

世襲制限の規制目的は、国会議員を「全国民の代表」として捉えられるように有権者の意識を改善していくこと、実在する多様な民意を国会に忠実に反映させること、新人候補者との公平を図ることがあげられます。特に新人候補者との公平は、民主的な選択肢を充実させるものとして重要です。この点では「供託金」の制度も見直すべきでしょう。衆議院小選挙区に立候補するには300万円が必要です。候補者の乱立を防ぐ目的があるといわれていますが、「三バン」をもつ世襲候補にとっては有利な制度です。

世襲制限として、「法律で世襲の親族にいっさいの立候補を禁止する」という方法を採るのは規制としては強すぎるでしょう。が、さきの民主党案のように「三親等以内の親族が同一選挙区から連続して立候補することを制限する」という内容であれば、必要最小限度の世襲制限と言えるでしょう。

残念ながら私たちは、今回の選挙においても、正しい仕組みで議員を選ぶことはできません。しかし投票に行かなければ、そういう政治を認めたことになってしまいます。どんな選挙でも、完全に自分の考えと一致する政党は存在しないでしょう。相対的に少しでも自分の考えに近い政党を支持していくことで、社会は民主的に進歩していくのです。

今回の総選挙では「最高裁判所裁判官国民審査」も同時に行われます。最高裁には過去の判決で「一票の格差」を容認している裁判官もいます。そうした裁判官に国民審査で不信任の「×」をつけることも重要な参政権の行使です。私なら木内道祥、山崎敏充、池上政幸の3氏に「×」をつけます。こうした問題提起により、日本の選挙制度を巡る議論がより盛んになればと願っています。

※1:最高裁判所大法廷「平成26年(行ツ)第155号、第156号 選挙無効請求事件 平成26年11月26日 大法廷判決」
※2:日本国憲法第13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」