日本の経営者、管理職も注意が必要
――日本の企業では株価への影響や経営陣の責任などを懸念してか公にしないケースが非常に多いのですが。
【D】日本固有のケースではないと思います。米国などでも公にしない企業は多いです。一説ではサイバー攻撃を受けた企業の97%が公にしていないとの報告もあります。しかし、米コカ・コーラのような事件が増えている事実を日本の経営陣、中間管理職の方々も十分に理解をして頂き、攻撃に対する備えをして頂きたい。
――例えば、さまざまに進化し、攻撃を仕掛けてくるサイバー攻撃に対して、「ファイア・アイ」はどのような対応で攻撃を防いでいるのですか。
【D】悪意ある者たちのサイバー攻撃に対してですが、我々はより積極的、プロアクテイブにこちらから先に攻撃的に対して防御する「適応型防御」というコンセプトの製品を作り出しました。
――それが御社の世界戦略の要になりますか。
【D】そうです。私たちは世界中65カ国以上に何百万台ものバーチャルマシーンを配備しております。これは、非常にユニークな点といいますか、我々にしか出来ないサービスですが、それぞれのバーチャルマシーンが60分、つまり1時間ごとに更新、つまりアップデートされるのです。
通常なら、アンチウイルスエンジンをアップデートをするには数週間程度の時間がかかるものですが、我々のバーチャルマシーンを使うと数分という単位で出来るわけです。
――攻撃する者たち、悪意ある者たちも日々技術力をあげて攻撃して来ます。技術力の向上はもちろんですが、人材の確保はどのように行っているのですか?
【D】我々は昨年、米国の情報セキュリティ会社「マンディアント」という会社を買収しました。同社は米政府機関、企業などを攻撃していたとされる中国の攻撃源を人民解放軍総参謀部三部の「61398部隊」であると世界で初めて特定し、世界の軍事関係者、政府関係者を驚かせた会社です。その世界を代表するような同社を我々は買収し、「マンデイアント」社の持っている情報収集の能力など、様々なスキルを受け継ぐことができました。非常に大切な財産です。
こうした買収が我々の技術力、技術者の厚みをもたらしてくれています。もちろん、我々は米国の政府機関とは密接な関係を持っていて、毎年の優秀な高等教育機関から採用すると共に、そうした政府機関で技術を学んだ人々との交流も行っています。こうした人材の厚みが世界で最もレベルの高いサービスを提供できる土台となっています。
――御社が開発されたサイバースレットマップは非常に興味深いですね。
【D】「ファイア・アイ」は他社が見過ごしてしまうもの、検知できないものまでをも検知してしまう会社です。そのサイバースレットマップが日本の方のサイバー意識を高めてくれれば、開発した私たちとすれば、とても嬉しいです。
サイバースレットマップ
https://www.fireeye.com/cyber-map/threat-map.html