日本はサイバー攻撃対象の第3位

今回、世界を代表するサイバーセキュリティ会社である「ファイア・アイ」のデビッド・デウォルトCEO(最高経営責任者)に、サイバーセキュリティの最前線について聞いた。

――サイバー攻撃と言えば中国、ロシアの名前がすぐに専門家などからあげられます。

【デビッド・デウォルトCEO(以下D)我々が出しているグローバルレポートにも記していますが、中国は非常に積極的にサイバー上におけるスパイ活動を行っています。現在、中国国内の20以上の企業をトラッキングしていますが、すべて国営企業ですね。中国のサイバー攻撃の特徴としては金銭目的というよりもイノベーションやアイデアの領域に攻撃目標があるようです。

――ロシアなどはどうですか?

【D】ロシアと中国とでは明らかな違いがあります。ロシア、東欧も同じような傾向がありますが、それらの特徴は金銭的な目的が多いですね。

――日本ではどうでしょうか?

【D】私も長年このビジネスに携わっていますが、ここに興味深い統計があります。それはどれだけの国がサイバー攻撃を受けているのか、サイバー防御をしているか、という統計です。どれくらいだと思いますか? その数はなんと204カ国。つまり、世界でサイバー攻撃と関わりを持っていない国はほとんどないという状況なのです。

そこで日本ですが、日本はこの世界では非常に興味深い位置にいます。なぜなら、日本は世界で最もサイバー攻撃を受けているトップ3に入っているからです。上から、米国、ドイツ、そして日本なんです。こうした国々に共通した特徴は、イノベーションやアイデアを持っていること。製造業が非常に発展していること。そして、資金が国に潤沢にプールされていることです。

――冒頭に触れましたが、米コカ・コーラが中国企業の買収を進めている過程でサイバー攻撃を受け、買収断念に追い込まれたニュースもあります。

【D】米コカ・コーラのケースを他人事と思ってはいけません。中国ではこうしたサイバー攻撃が頻繁に行われています。つまりサイバー攻撃をすることで、誰がどんな交渉をしているのか、どのような条件提示をしているのか、金額はいくらなのかなど、こうした買収案件の肝となるものをサイバーから入手し、ライバル社の買収を中断に追い込むようなケースが目立って増えています。